東京藝術大学音楽学部は、今年2009年に前身の音楽取調掛創設から130周年、音楽学部創立から60周年という記念年を迎えます。音楽取調掛(1879〜87年)を発展させる形で設立された東京音楽学校は、戦後に東京藝術大学音楽学部(1949年〜)に改組されるまでの70年間、官立唯一の音楽専門の学校として日本の音楽界でつねに大きな存在感を持ち続けていました。これまでも近代日本の洋楽受容史の中心として研究が重ねられ、その通史を詳細に描いた『東京芸術大学百年史』という優れた研究成果を手にすることもできます。  

しかし、そこに描かれている“通史”さえみれば、東京音楽学校を十分に把握できるかといえばそうではありません。同校が存在した明治期・大正期・昭和初期・戦時下・占領下という激動の時代とは、「社会にとって音楽とは何か」ということが絶えず問われていた時代でもあるのです。今回、洋楽文化史研究会が目的とするのは、従来の「音楽史」という枠を超えて、東京音楽学校が日本社会で果たした多様な役割を解明することにあります。  

このような問題意識の下に、本年9月にシリーズ第1回としてシンポジウムを開催致しました。以降も研究報告による例会をシリーズ化して開催いたします。つきましては、多くの皆さまに私共の取組みを幅広く発信していきたく存じます。  

何卒ご高配賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。





 ■ 東京音楽学校研究のための参考資料(準備中)
     

 ■ 第1回:シンポジウム傍聴記 2009年10月3日(土)
  報告者:佐野光司氏(ゲスト)
	塚原康子氏(ゲスト)
     

 ■ 第2回:研究報告 2009年12月13日(日)
 上田誠二「音楽教育の社会化に邁進した社会教育官僚
    ―大衆社会と向き合った乗杉嘉壽校長(1928−45)―」


 ■ 第3回:研究報告 2010年1月23日(土)
 手塚賢一「横浜市歌と南能衛(1881-1952)」
 三枝まり「橋本國彦と東京音楽学校―唱歌編纂掛での活動を中心に―」
     

 ■ 第4回:研究報告 2010年7月31日(土)
 小宮多美江「東京音楽学校がもたらしたのは「二十世紀は演奏の時代」?」






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